ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第3章 お風呂
「それよりさっきのコウモリの話だけど。」
マキアはハッとしたように思い出し、
振り乱した髪を直しながら聞いた。
「はぁ~…ハイ。珍しい色のコウモリがいたんです。2匹。」
「…ふーん。」
リヒ様はまたひじを付き、窓の外を見た。
「その色が」
「金と銀?」
リヒ様は目だけをマキアに向けた。
「えっ?そっ…そうです!ご存知なんですか?」
リヒ様はまた目を窓の外に移して、溜め息をついた。
「ハァ~…。来るなら来ると言ってよね。」
「えっ?!」
マキアがきょとんとしていると、部屋の中につむじ風が起きた。
「きゃぁっ」
マキアは両手で頭を覆ったが、
すぐにリヒ様がマントを広げ、マキアを風から守ってくれた。
「リヒ様!」
「大丈夫。敵じゃないよ。」
リヒ様の声は落ち着いているというより、気が抜けていた。
「??」
マキアはマントの間から風を見ると、
中から人影が2つ出てきた。
金髪のグラマラスな女性と、
銀髪の美形の男性だ。
二人はリヒ様に近づくと、
にっこりと笑った。
「はぁ~い♥久しぶりっママのカワイィコウモリちゃん♪」
「20年くらい見ないうちに、
また一段と男前になったんじゃないか?パパみたいに。」
2人とも紫水晶の瞳をしている。
「……久しぶりだね。母上。父上。」
リヒ様は10歳くらい老けたように見えた。