ドラキュラさまの好きなモノ〜主人とメイドの恋煩い〜
第3章 お風呂
「…リ…リヒ様…あっ」
耳を甘噛みされて、マキアは全身の力が抜けて行くのを感じた。
「命令して欲しいの?…マキア?」
リヒ様はマキアの耳に唇を付けたまま言葉を続けた。
「…ダっダメっ…リヒ様、やめ…」
背中がゾクゾクとし、マキアの顔が真っ赤になる。
「ダメなの?…それとも…」
リヒ様は唇を耳から首筋に滑らせていく。
「あっ…ひゃっ!」
首筋から全身に電気が走るような感覚に教われ、
マキアはぎゅっと目を瞑る。
「ハイっおしまいっ☆」
リヒ様の姿はいつの間にか子供に戻り、
無邪気にマキアの頬にキスをして笑った。
「…っ!?」
マキアは恥ずかしさに言葉をなくし、
それから怒りが爆発した。
「り…リヒ様のバカぁーーー!!!」
マキアは持っていたタオルを投げた後、
アヒルちゃんとカエルちゃんを立て続けに投げた。
しかしどれも簡単にかわされ、
リヒ様はきゃっきゃと、
さも楽しげに笑って部屋まで逃げた。
マキアはリヒ様の髪の毛から落ちた雫を拭きながら、
部屋まで走って追いかけた。
「アハハ、いつもは人間を追う方だけど、
追われるのもなかなか楽しいな。」
部屋では大人の姿に戻ったリヒ様が、
バスローブを着てソファーに寝転び、ひじを付いて笑っていた。
「…はぁはぁ…そんな頭と格好でいると…お風邪を…はぁ…召されます…よ」
マキアは息切れをしながら、
怒りに燃えた目でうめいた。
「ハイハイ。すぐ乾かすよ。」
リヒ様がバチンと指を鳴らすと、
髪はすっかり乾き服も一瞬にして着替えられた。