第18章 5月5日 合宿4日目
すると中から内沢さんの"もう一個配達行ってくる"と言う声がした
"まだ配達あるんだ...大変そうだな~"と呑気に考えていると、中から出てきた内沢さんは笑いながらこう言った
内沢「よし、じゃあ配達行きますか!」
「...え?」
まるで私も一緒に行くかのような言い方に驚きが隠せない
内沢「ほ~ら、車乗って!配達は時間が命なんだから~」
そう言って私の背中を押す
私は"わ、悪いですよ!"と反論するも結局押しに負けて車の助手席に乗った
「...すみません...送ってもらっちゃって...」
内沢「いーのいーの!宅配も承りますから(笑)」
そう言って笑う内沢さん
優しい人だな~...
「ありがとうございます...」
例え元々赤の他人だとしても、一度同じチームとして戦ったら打ち解けられるのがスポーツの醍醐味だと思う
車の中で色々な話を聞いた
烏養監督やコーチのこと、この前の試合の話、今合宿でどんな感じなのか、明日に迫ったごみ捨て場の決戦のこと...
内沢「へえ...本当に音駒来るんだな」
「はい、明日来ますよ!来れたら見に来て下さいね」
内沢「うーん、明日は宅配結構あった気が...」
「おう...それはドンマイです...」
そう言って二人で笑い合う
内沢「そーいや、まおちゃんって"空中の支配者"だったんだな~」
「あー、聞いたんですか~」
内沢さんはハンドルを右に切りながら話し出す
内沢「いや、聞いたと言うより、気づいたかな~」
「?」
そう言って"ふッ"と笑う内沢さん
内沢「3年前にな、中総大をたまたま見に行ったとき、多分まおちゃんのプレー見たんだよ。それで、前回見て気づいた」
「そうだったんですか...そんなに特徴的ですかね...?私のプレイ...」
内沢「うーん...特徴的って言うより、なんか目が引かれるんだよ、多分」
「そうですか...全然分かんないな」
私がそう言うと、"まぁ、上手いんだから良いじゃねーか!"と内沢さんは笑う