第2章 in THE AFTERNOON
私はお礼を言おうと、中庭へと駆け出しました。
昼休みはまだ少しあったけれど、
できるだけ時間をとりたかったからです。
私が駆け寄ると、彼は文庫本のページを繰る手を止め、
私の方を見ました。
少しドキリとしたのは、私が男性と話すのに慣れていなかったからだと思います。
「あ、今朝の子か。」
茶髪がかった髪は昼下がりの太陽にキラキラと反射して、
男性にしては色の白い肌も後ろの桜の木によく映えて、
スラリと細めな指は紙の黄ばみがかった文庫本にかかっていて、
眩しいくらいに綺麗でした。
線が細く綺麗という印象を与える彼は、意外にも高身長で、多分170台後半くらいの身長です。
私は少し見上げるような格好で、
彼に伝えようと思っていたことを伝えます。
「今朝は、ありがとうございました。」