第6章 in THE LIBRARY
彼にとっては作業の片手間であるその時間は、あっけなく終わりを迎えるのです。
「頑張ってください」といって見送った背中はやっぱり大きくて、この人になら誰でもついて行きたくなるんじゃないかとすら思えてきます。
彼にも弱いところがあるんですね。
それでも、私とは比べものにならない強さを持っているけれど。
それを、私には話せるだなんて、嬉しい限りではないですか。
ぽつぽつとしたゆるやかな会話の流れの中で紡がれる彼の言葉は私の中でずっしりと重く心に残ります。
けれど、それは決して嫌な感じではなくて。
なんだか、温まるような、落ち着くような。
ふわふわと。
じわじわと。
ずっしりと。
ぽかぽかと。
……この気持ちは私が経験したことのないものでした。