第4章 in THE TRAIN
「じゃ、ウチら降りるからぁ」
「じゃあな。」
彼女達を見送る雪ノ下先輩の笑顔はやはり私に向けるそれより力の抜けたものでした。
「さっきの子達は姉貴の後輩なんだよね。」
彼女達を見送ったあと、私の方を向く彼は少しばかり疲れたような表情をしていました。
「伏見サン、ああいう子苦手なタイプ?」
「えぇ、まあ。」
何故、こうも彼は私の考えていることを察するのでしょう。
「だと思ったんだよなー。正直に言うと、俺もなんだよね。」
「そうなんですか?」
意外なことを言われました。さっきまで、私には出来ないくらいにこやかに対応していたのに。
「あの子達、あんなに着飾らなくても可愛いと思うし。あんなに合コンとかやんなくてもいいと思うんだよね。」
私とは全く異なる理由でした。
「ま、それをあの子達に言えない自分が嫌なんだけど。」
ーーーまもなく、白花(しらはな)ー、白花ー
ーーーお出口は、右側です
私たちの利用する駅、白花駅にまもなく到着するようです。
「着いたね。伏見サン、駅のどっち口?」
先ほどまでの話題は電車のアナウンスにより、あっさりと終わりを迎えました。
「東口です」
「あ、じゃあ逆だ。」
ーーーしらはなぁしらはなぁ
白花駅で降りる人は少なく、ドア前に立っている人を掻き分けなければ出ることができません。
まだ電車に慣れてない私は、ここで一苦労です。
「…ふぅ」
ホームに立ってから一息つくと、「慣れるまで大変だよね」と雪ノ下先輩が笑いました。