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poco a poco

第4章 in THE TRAIN


学校の最寄り駅から一駅先の駅で、たくさんの人が電車を降りました。
それと同時に、少し派手な人たちが数グループ乗ってきました。

「あー!椿じゃん!」
「久しぶりー!」

雪ノ下先輩に声を掛けてきたのは、結構派手めな他校の女子生徒2人。

地毛なのか染めたのか分からない茶色の髪はクルクルと巻かれていて、スカートは膝上20cmくらいで、メイクもしていました。

私が苦手とする種類の人達です。

「久しぶり。」

彼は私に向ける笑顔より幾分か力の抜けたそれで彼女達に応えました。

初対面の私より、昔から馴染みのある彼女達の方が、話しやすいというのは当然のこと。彼女達は何一つ悪くありません。けれど、どうしても、彼女達に「彼女達」を重ねてしまいます。

…最も苦手で最も怖い「彼女達」。

「椿さー、最近付き合い悪くない?」
「ごめんって。ちょっと忙しかったんだよ。」
「椿も大変だねー、で、今度合コン来ない?」
「行かないって何回断ればいいんだよ、この前も断っただろ?」
「ま、そう言うと思ってたけどね。」

聞こうとしないでも、耳に入る会話。

彼女達の声は電車内なのに大きく、よく通ります。雪ノ下先輩の優しさを帯びたその声は、彼女達の声に掻き消されていました。だけど、彼女達の頼みをしっかり断る力強さは私にはないもので。

私はまた一つ、憧れを募らせるのでした。

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