第4章 in THE TRAIN
私と彼は、学校から歩いて10分ほどの場所にある駅のホームを歩いていました。
私は登校初日で慣れていなかったけれど、彼は二年生、やはり慣れていますね。
「伏見サン、ここから乗ると駅のエスカレーター近いよ。」
彼はそういって、学校の最寄り駅のホームの、ベンチから少しズレたところに私を導きました。
「ありがとうございます」
思い返してみれば、誰かと一緒に下校するというのは、小学校以来でした。
一人で、独りで、何かから逃げるかのように、早歩きで帰った中学時代。
寂しくなかったと言えば嘘になります。
寂しくないわけじゃなかったけど、彼女達と一緒にいたいわけでもなかったんです。
そんな、中学時代。
『高校デビュー』なんて器用なことは出来なくて、相変わらず地味でよわくて、友人も出来ないまま終えた登校初日。
だけど、不思議と寂しくなかった今日。
何故でしょう。
素朴な疑問が頭に浮かびました。