第3章 STUDYING
「中学の時は、三位以内…でした…」
「それで、『そこそこ』ね。」
彼はクスッと笑いました。やっぱりこの人も、私から離れていくのでしょうか。そう思うと、もう慣れたはずのこの感覚がとても怖く感じられました。
「…俺、伏見サンとなら仲良くなれそうだわ。」
いままで言われたことのなかった言葉でした。
「…え?」
思わず出てしまった声は驚くほどに小さくて、多分彼には届いてません。
彼は頼まれていた仕事が片付いたようで、図書室から出る支度を始めました。
「…ふぅ。仕事完了っと。じゃ、俺部活行くから、またね。」
「…はい。頑張ってきて、くださいね。」
「おうっ」
…「またね」ですか。
「さよなら」じゃないんですね。
また会える、そう思うと何処か嬉しく思うところがありました。
私から離れていかなかった人。
目を細めたくなるくらいに眩しい人。
じめじめと埃の匂いがする薄暗い図書室で、
私の心がいつもよりずっと明るかったのは、
きっと、眩しすぎるあの人のせいだと思いました。