第3章 STUDYING
「あ…」
「伏見サンじゃん。いらっしゃい。」
「…こんにちは」
彼は作業をしていたようで、制服のシャツの袖を捲っていました。
「俺さ、図書委員とかじゃないのに、雑用頼まれちゃってさ…」
「…大変ですね」
お人好し、なんでしょうか。雪ノ下先輩って。
そんな風に思いながら、窓側のイスに座りました。
だけど、なんか、周りに人がいると、小説って書きづらいですね。
「あ、俺、邪魔?図書室だし、黙った方がいいかな?」
「いえっ、そんな、ことは、ありません」
「そう?じゃあ、俺の話し相手なってよ。」
そう言って振り返りながらこちらを向く雪ノ下先輩は、初めて出会った時と同じ優しさをまとっていました。