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(R18) ドリップ・ポルノ (HQ)

第1章  I (can not) see you.(及川徹)



 俺はいま、この世界の誰よりも幸せなはずなのに。

 ほら、また。

 苦しくなる。



 好き、って、思うたびに。



 怖いんだ。


 彼女が指輪の贈り主をまだ愛しているんじゃないかって。

 だから、俺との身体以上の関係を望まないんじゃないかって。

 怖くて、だから、いつしか好きと思うことさえ苦しくなって。こうして何も言えずに怯えてばかりいる俺がいる。

 情けなくて嫌になる、ほんとに。





「……やっ、あ、……だめっ」




「駄目じゃない。逃げないの、ほら」


 欲に目が眩んだ振りをすれば、少しは楽になるんじゃないかと思った。

 自分の弱いとこを誤魔化して、本当の気持ちに蓋をして。

 しとどに濡れたそこへ指を滑らせて「──もうこんなにとろとろ」余裕ありげに笑んでみせる。


 つぷ、と埋ずめる我欲の尖端。




「あっ、入、……っん、きもち、い」



 なんとも色香溢れる声が鼓膜を揺らした。

それだけで爆ぜてしまいそうになるから、惚れた弱みってのは怖いのだ。

 本当に出ちゃうから、これ以上かわいい声を出さないでほしい。

 危うく達しかけた自身を宥めて、どうにか抑えつけて、俺は再度奥を目指すことにした。

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