第1章 I (can not) see you.(及川徹)
ゆるゆると、彼女のきもちいいところを狙って腰を律動させる。
ついついガッつきたくなるけど、そんなことしたら速攻で出ちゃうからここは我慢。
「女より先にイク訳にはいかねえのが男の意地だよなー!」って、これはいつしかの光太郎の台詞。
あいつ、疲れると早漏になるんだって。うわあ嫌なこと思い出しちゃった。
「──……徹?」
彼女の声がして、沈んでいた意識が現実に引っ張りあげられた。ハッとして二回、瞬きをする。
どうしたの。
そう問いたげな瞳が俺を見つめていた。そんなに上の空だっただろうか。
「や、ごめん、なんでもない」
場を取り繕うための適当な言葉を探して、そのまま口に出す。
繋がった下肢が熱を取り戻すのに、そう時間はかからない。
再開した律動に合わせて、互いの熱が交わるところから淫らな音がした。
火照った肌がぶつかる音に、時折混ざって聞こえるいやらしい水音。
それらが少しずつ速くなっていけば、比例して頂に近づくのは射精感だ。