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(R18) ドリップ・ポルノ (HQ)

第6章  そういうの柄じゃないので(花巻貴大)



 彼女の肩を抱いたままエレベーターに乗り、ごっこ遊びに興じながら三階へ昇って、部屋に着くなり押し倒してキスをする。

 安っぽいベッドが悲鳴をあげた。
 シーツの白に、散らばるプラチナ。


「……っん、……ぅ」


 口付けの隙間から漏れる声は意外にも甘やかな。「いい声出すじゃん」なんつって、それらしいことを口にしてみる。

 啄むように唇を食んで、それから深く舌を絡めて。

 キスの傍ら、下腹部から胸に向かって手を這わせれば、細く華奢な腰がびくんと跳ねた。

 やたらふわふわしたセーターが静電気を起こしてるけど、とりあえずそれは無視。

 服を捲りあげ露出させる柔肌。
 ホックを外す時間すら惜しくてブラをずらすと、小振りではあるが綺麗な乳房が顔を覗かせる。


「っ、はなま、き、」

「んー、貴大って呼んでくれたらもっと燃えんだけどなァ」


 努めて軽く乞うてみた。
 愛撫は、したままで。

 俺を下の名前で呼ぶのはあいつだけだから、どうせ忘れるなら全部忘れたくて。だから。


「……たか、ひろ」

「もっかい」

「……っ貴大」


 忘れさせてよ。

 あいつの声、あいつが俺を呼ぶ声。ツンとした横顔で笑んでみせて、それから『貴大』って、柔らかく呼ぶんだ。

 全部消して、塗りかえて。
 今だけでいい。少しでいいから。

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