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(R18) ドリップ・ポルノ (HQ)

第6章  そういうの柄じゃないので(花巻貴大)



 こんなときまで、あいつのことばかり。忘れようとすればするほど意識が占領されていく。

 俺は、なにをこんな。
 実らない恋に必死こいてんだか。

「──……ッ」

 チ、と奥のほうで舌が鳴った。
 つくづく嫌気が差した。


「やっ、貴、……っ花巻、ちょっと待」

「なに、舐められんの嫌い?」

「……っきらいじゃ、ないけど」


 胸への愛撫もそこそこに下肢へ移動しようとした俺を、彼女が引き止める。

 制止されたことで視線がぶつかった。

 ちゃんと苗字呼びに戻るとか、律儀かよ。可笑しなやつ。そんなことをぼんやりと考える。心ここに在らずな俺を見て、閉口する彼女。

 あ、これマズいやつだ。
 このままじゃ場がシラケちまう。


「あー、そういうことな」

「へ? っわ、ちょ、何」

「暴れんなって危ねえから。はい、ちゃんと掴まって。お風呂でキレイキレイしましょうねー」


 お粗末な男に成り下がる寸前でテンションを引っ張りあげた俺は、彼女の身体をひょいと抱えてバスルームに向かった。

 一夜とはいえ、情事は情事。
 ホテルまで来ておいて女を満足させずに帰っただなんて、そんな黒歴史は作りたくないってのが本音である。

 我ながら惰弱な理由だと思うけど、男なんて大体皆そんなもんだ。たぶん。

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