第5章 愛玩(及川徹の場合)
「っん、ぐ、ぅ、……っ!」
これ以上は無理だと首を振っても、無論彼は応じてはくれない。
愉しげに声を上擦らせて「まだ半分も入ってないんだけど」と、小首を傾げるだけだ。
何度も、何度も咽せこみそうになる。
息ができない。
辛い、苦しい、なのに。
こんな状況にさえ欲情してしまうのは、やはり私が「淫乱」だからなのだろうか。
「こっち見な、椿。顔上げて」
ポン──と独特の機械音。
見上げた先には、スマホだ。
彼に取りあげられた私のスマホ。
録画を知らせるランプが点灯し、焚かれたフラッシュが目を焼き焦がす。
溢れるのは、涙。
決して届くことのない想いへの憂いなのか、最愛に凌辱されることへの悦びなのか。
もはやその理由はわからない。
「……んっ、んう、……んんっ」
口内の律動が速くなるにつれてキツくなる花襞。
彼が時折こぼすその吐息を聞くだけで、私は堕ちてしまう。
バイブになかを擦られ、花芽を震わされ、上の口を彼自身に犯されて。ほろほろと大粒の涙を零したまま、私は、今日何度目かも分からない絶頂を迎えた。