第5章 愛玩(及川徹の場合)
彼が望むのは忠誠と永遠。
どちらかが命の終わりを迎えるそのときまで彼を裏切らず、ただ愛して、見返りなど決して求めない。
従順に彼のそばに居続ける存在。
そう、まさに、ペットだ。
奇しくも選ばれたのが私。
だから私は、絶対に彼を求めない。
そんなことをしたら捨てられてしまう。それだけは、嫌だ。
「……っは、あ、……んっ」
喉まで出かかった本望をぐぐと胃のほうに押しやって、強く下唇を噛んだ。
彼が満足するまでバイブを抜くことは許されない。知らぬ間に瞳を濡らしていた涙が、つ、と頬を落ちる。
「んー……いいね、その顔」
やおら立ち上がって言った、彼が。
ぎしりとベッドを鳴かせて私との距離を詰める。直後だった。鷲掴みにされる髪。後頭部を、押さえつけられて。
「上手にできたら許してあげる」
だから、ほら。
ベルトを外し嗤う彼。
「しゃぶれよ、雌犬みたいにさ」
拒もうという気が私にないことを悟ってか、悟らずか。熱杭を曝した彼が私の口内に挿ってくる。
初めて知らされる彼の姿形。
自身の味を覚えこませるように、私を押さえつけて陰茎を押し進める。