第5章 愛玩(及川徹の場合)
以前、こんな記事を読んだ。
極上のスローセックス──
及川徹が魅せる、鍛え抜かれた美
そう銘打たれた特集記事。
イケメンと謳われる著名人たちが渾身のヌードで撮影に挑むという、某女性週刊誌のそれである。
容姿端麗な外国人モデルの女性を抱いて、カメラ目線を決めこむ彼。なんとも扇情的なその写真のあとに、こんなインタビューが掲載されていた。
記)ズバリお聞きします。
現在、及川選手に春の訪れは?
及)ずっと冬ですよ、もう何年も(笑)
俺、本当にモテなくて。遊ばれちゃうんですかね。すぐに振られちゃう。だから俺自身、もう、そういうのを求めてないっていうか。
小さな活字で綴られた彼の言葉。
それらを読んでようやく、わかった。
国を代表するほどのスポーツ選手である彼が、私なんかを拾った意味。
彼が私をペットと呼び、寝食を与え、時には高価な服や美しいアクセサリーまで与えてくれていた、その真意。
それは、無償の愛が欲しいからだ。