第5章 愛玩(及川徹の場合)
寂しさを、埋めるため。
ただそれだけのために、あの日身体を開いた。
及川さんにバレた地点で捨てられることを覚悟したけど、まさか、こんなことになるなんて。
「あっ、あ、またイ、ク……──ッ」
みだらな声で悲鳴をあげる。
ぐちゅぐちゅと混ざるのは水音。
奥深くまで挿入したバイブが止むことなく膣内で蠢き、的を外さずいいところを刺激する。
果てへ追いやられた私は腰を浮かし、達する悦びに喉を震わせて彼を呼んだ。
「っは、あ、……及川、さん」
呼んで、本当は、このまま求めてしまいたい。
私が欲しいのはこんな偽物の快楽じゃない。温度を持たない人工の杭なんかじゃなくて本当は、あなたの。
「──……っ」
だめ、言えるわけない。
私はまたも本音を咽下した。
そうするしか、なかった。
及川さんは『そういうの』を求めているんじゃないのだと、ペットである私が一番よく知っている。だから黙ることしかできない。
あなたが欲しい、だなんて。
口が裂けても言えないのだ。