第5章 愛玩(及川徹の場合)
乱れた、息。
ベビードールに包まれたままの胸を忙しく上下させて、及川さんを見やる。
視線がぶつかった途端、彼の美麗な眼が細くなった。絹糸のような美しさの奥に、濡れた瞳。
「はい、もう一度」
ポスンと音がした。
先ほどよりも少し重めの音だった。
足元へ、そろり、目を走らせる。
そこにあったのは陰茎を模した機械。
半透明のシリコンで出来たそれを見て、達したばかりの花芯がぐずり、と今一度の熱をあげる。
私は従順に手を伸ばしてバイブを握り、ONと書かれたボタンを押しこんだ。
うぃん、うぃん、と妙な駆動音を立てて尖端がくねりだす。さらに一度ボタンを押すと、そこに前後運動が加わった。
根元に近いところから伸びている突起は、おそらく花芽を刺激するためのモノだろう。
「……、……っ」
挿入の前に一度だけ彼を見た。
変わらずジッとこちらを見つめる美顔。及川さんが、私を見てる。
安堵、してしまうのだ。
彼の視線が自分から逸らされていないことに、ほっと胸を撫でおろしてしまう。嬉しいとさえ、思う。
及川さん、私は──……