第5章 愛玩(及川徹の場合)
「もっとだよ。俺によく見えるように」
命を下す及川さんに表情はない。
凍てつく、眼。
虚無さえ感じさせるその瞳に操られでもするかのように、私は、さらに脚を開いていく。
花唇がくぱりと割れ、露出した蜜洞への入口が急に熱を持った。
見られてる、彼に。
及川さんの前で、私、こんな。
「いま、濡れたね?」
「………っ!」
「垂れてる。とろ、って」
彼に言われて間もなくだった。
蜜が後ろに伝っていくのが分かって、羞恥に身が火照る。
紅潮した顔がもっと熱くなって、まるで、全身の血が頬に集まったみたいに。
「見られただけで濡れるんだ? とんだ淫乱だね、ほんと。まあ最初から分かってたことだけどサ」
淫乱、か。
ホテル街で拾われた私にはぴったりの言葉なのかもしれない。いや、事実そうなのか。
ご主人様の言いつけを破って、他の男の匂いをつけて帰ってきたのだから。
でも、それは──