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(R18) ドリップ・ポルノ (HQ)

第1章  I (can not) see you.(及川徹)



 閑話休題。
 ともかく、彼女と過ごす時間は居心地がよかった。

 世間から求められる『及川徹』でいる必要がなかった。息が、しやすくて。




 いつからだろう。

 彼女を、愛おしいと思うようになったのは。



 いつのことだっただろう。

 自分のなかに生まれた醜い感情が、執着心だと気づかされた。



 いつのまにか愛してた。

 そんなこと言ったら、彼女は笑うかな。笑ってくれるならまだマシだけど、もし、拒絶されたりしたら──







「……俺、死んじゃうかもしれない」







 ぼそりと独りごちた。
 お話は現在へと戻る。



 俺が言葉に含ませた意味を知ってか知らずか、彼女は優しげな声音でこんなことを言った。


「大丈夫。ひとはそう簡単に死んだりしないし、それに、徹は殺されても死ななそう」




 最後のひと言は非常に心外だ。
 たしかに心外なんだけど、その冗談めいた言葉に救われた気もする。

 何もかもが、うやむやのまま、俺は彼女を抱く腕に力をこめた。

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