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(R18) ドリップ・ポルノ (HQ)

第5章  愛玩(及川徹の場合)



「……それで?」
 宵闇の部屋に短い問いが響いた。

 彼はその手に私のスマホを持っているようだった。
 
 ふと灯った液晶が彼の表情を明かし、龍神日本一の美男と謳われる『及川徹』が姿を現す。

 ああ、この顔はまずいやつだ。
 すごく、すごく、まずいやつ。

 人間には喜怒哀楽があるっていうけれど、それらの内のどの感情を抱いていたとしても、及川さんは笑う。

 笑うのだ。

 たとえ、哀しくても。
 怒っていたとしても。

 もともとよく笑う男性(ひと)だし、彼の見せる笑顔はどれも綺麗だ。まるで花が綻ぶようだと、以前観たバラエティ番組ではそう評されていた。

 余所行きの笑顔は、たしかにそう。

 でも、そんなの比じゃないくらい美しい笑顔を私は知っている。本気で怒っているときの及川さんの笑みは、甚く美しい。

 同じ人間とは、思えないくらい。
 こういうのを妖艶というのだろうか。

 ていうか明日まで生きてられるのかな、私。既に生きた心地しないけど。

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