第4章 愛玩(木兎光太郎の場合)
「ずっと好きだった、っ、……出会った、ときから、ずっと」
腰を打ちつけるごとに思いの丈をぶつけて、彼は切なげに眉根を寄せる。
快感に耐えているのであろうその表情は、ひどく、煽情的で。
抽送に合わせて彼の前髪が揺れる。
銀と黒のバイカラーから覗くゴールド。濡れた金が悦楽に染まる様は、どうしようもなく美しい。
初めて、彼を美しいと感じた。
可愛らしかったり、格好良かったり、美しかったり。忙しい子。その百面相で、どれだけ私を虜にしたら気が済むのだろう。
「…………私も、」
「──……え?」
私はきっと、待っていた。
私たちの奇妙な関係に終わりが来るのを。保たれていた均衡が崩れて新たな関係が始まるのを、気付けば、随分と前から願っていたような気がする。
そうね、私も、同じ気持ち。
「好きよ、光太郎。大好き」
伝えて、数秒。
見つめ合ったままでいることに耐えられず、彼の首に腕を回し思いきり引き寄せて、その耳朶にキスをする。