第4章 愛玩(木兎光太郎の場合)
「だからちょうだい、奥がいいの」
照れ隠しで言ったはずが、とんでもないことをねだってしまったらしい。
「……言ったな? 覚悟しろよ」
悪戯っぽくそうこぼした彼が抽送のスピードを上げ、これ以上ないくらいに強く深く蜜洞の奥を打った。
迫りあがる、今一度の絶頂感。
上がった息と。
汗ばんだ肌と。
「っあ、も、イッ、ちゃう……!」
「……俺、も、……もう、っ出る」
本能だけで互いを求めて、貪って、熱に浮かされた愛慾の果て。私たちは、時を同じくして絶頂を迎えた。
「あー……最っ高。俺、今マジで幸せだわ。世界一、いや地球一幸せ」
白濁を出し切ってもなお陰茎を抜こうとせず、愛の余韻を楽しむ広い背中に両手を這わせる。
ゆるく、抱き締めて。
それからぎゅっとして。
「じゃあ私は太陽系一幸せね」
だなんて、ようやく彼と甘い関係になれた幸せを噛み締めるのだ。
「なあ、太陽系ってなに?」
「……小学校からやり直す?」
了