第4章 愛玩(木兎光太郎の場合)
熱を帯びた口内に蕾を含まれ、飴玉のようにころころと転がされては歯列で挟まれる。
硬くした舌先で左右に捏ねられると、無意識に締まる下肢。まだ触られてもいないのに、きゅう、とナカがきつくなってしまう。
「あ、……あっ、ん」
響く嬌声は艶めかしく、いまだテレビから流れつづける試合の音声に混ざって、部屋の空気を揺らした。
木兎光太郎、名に恥じぬ跳躍で会場を沸かせます──!
男性アナウンサーが強い語調で伝え、実況者が「豪快な一点でしたね」と妙に落ちつきはらった声音で答える。
瞬きと、瞬きの間。
ほんの、一瞬だけ。
試合画面を見やると、私を組み敷いている彼とまったく同じ顔をした青年が、テレビのなかでガッツポーズを決めていた。
可笑しな感覚に、ぞくりとお腹の底がくすぐったくなる。