第4章 愛玩(木兎光太郎の場合)
ひと口食べるごとに美味しいと笑みをこぼして、ついでにジュースをこぼした彼を叱ってから、お皿を片付けて食後のデザートを出す。
会社の同僚から貰った、なんとも可愛らしいスノーボールクッキー。
純白の粉砂糖に包まれたそれを、ひと粒。口に放りこんでから彼は「甘ーいうまーい」なんて、適当かつ単純な感想を述べた。
「あっ、今見た!? 俺決めたの!」
「うん、見た。テレビの中の光太郎はいつ見ても格好良いね」
少し意地悪のつもりでそう言ったのに、彼は言葉そのままの意味で受けとったらしく得意げな表情。
「だろー? へへ、もっと褒めて!」
唇に粉砂糖つけたままで何言ってるんだか。苦笑しつつも、込みあげるのはやっぱり愛おしさだ。
褒めてとねだる彼に手を伸ばして、意外にも柔らかなその銀髪を、そっと梳くようにして撫でる。
「すごく格好良いよ」
「どんくらい?」
「光太郎が一番、格好良い」
賛辞と共に頭を撫でられてうっとりと、心地好さそうに細くなる彼の瞳。