第3章 ひとはその奇跡を運命と呼ぶ(松川一静)
「……触、って、……ください」
降参して吐露する本心。
よくできました──
そう言葉で褒める代わりに彼が微笑を浮かべた。優しげで、なのに雄の色香を漂わせる笑み。
思わず見惚れて、次の瞬間、ふいにやってきた刺激に身体が跳ねる。
「あっ、やっ、ああっ……!」
言いようのない快感が下肢を襲った。
横にずらされたクロッチ。
すでに溢れていた蜜を掬われ、溝に沿ってぬるぬると縦に塗りつけられる。
「……へえ、初めてでもこんなに濡れるもんなんだ」
語尾に疑問符を付けたように言って、小首を傾げる彼。
「──やらしい子」
甘ったるく加えられた低音が更に花芯を煽る。昇らせていく。
「…………っあ、ん」
つぷりと挿ってきた異物感は、想像していたような痛みではなくて。
思っていたよりもずっと甘美で艶やかな圧迫を、内側で感じとった。