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(R18) ドリップ・ポルノ (HQ)

第1章  I (can not) see you.(及川徹)








 *






 夜──



 街に散りばめられた灯りのせいで赤色に染まる、都会の空。星のない曇天を仰いで、ひとり、小さく溜息をついた。



 シャワーの音が聞こえる。

 花みたいな石鹸の匂いも。



 俺の唐突な「会いたい」からはじまった今日の逢瀬は、まだ幕を開けたばかりだった。





「ねえ、俺も入っていい?」





 バスルームへつづくドア越しに問いかける。

 彼女の答えは疑念を含んだイエス。
 戸惑いがちに開いた扉の向こうに、美しい白肌が見えた。



 多めに張られた湯はとろみのある乳白色。薔薇の匂い、なのかな。さっき香ったのは石鹸じゃなくてこれだったのかと納得する。



 ふたりで入っても充分足が伸ばせる浴槽に浸かって、後ろから彼女を抱き締めた。

 濡れたおくれ髪を払いのけて頸にキスすると、彼女は「くすぐったい」と笑んで身じろぎをする。

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