第1章 I (can not) see you.(及川徹)
もしも、
セフレの子を好きになっちゃったらどうする?
昨日、練習後のロッカールームはそんな話題で持ちきりだった。話を振ったのは他でもなく俺。チームメイトの意見が聞いてみたかった。
「告ります」
まずそう答えたのが飛雄。
もうちょっと捻りのある回答とかできないのかなこの子。まあでもそうだよね。普通はそうすると思う。
「逆に惚れさせる」
次に答えたのは光太郎だった。
出たよカッコ良し男。
お前のそのポジティブな漢気って一体どこから来るの。かっこよすぎてたまに嫉妬しちゃう。まあ俺のほうがかっこいいけど。
「娶る」
もうマジ牛島。
さすが牛島かよ。
娶るってなんなの。覇王なの。大真面目な顔して素でおかしなこと言うのやめてほしいほんと。見事にオチをつけてくれてありがとうね。
ひと通りの意見を聞いて、ひと頻り野次り倒して、それからこう問われた。じゃあお前はどうするんだよ、及川。
俺は、何も答えることができなくて。