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(R18) ドリップ・ポルノ (HQ)

第3章  ひとはその奇跡を運命と呼ぶ(松川一静)



 私の返答を訊いた彼が、黒々とした瞳を綻ばせる。

 男らしく節だった手で私の右頬を撫でて、独りごとのように「可愛い」とこぼして。



 うなじに滑りこんでくる熱。


 それが彼の手のひらの温度なのだと自覚するより前に、唇が奪われていた。

 一度目のキスは、触れるだけの、柔らかな。






「──優しくしたるからな」






 甘ったるい声が鼓膜を揺らす。

 直後に、二度目の口付け。

 その言葉のとおり優しく食むようなキスが一度、二度、彼が鳴らしてくれるリップ音と共に降ろされた。



 それらをただ享受することしかできない私。知らず知らずのうちに固く結んでしまっていたらしい唇に、湿度をもった熱が触れる。



 私の上下を割るようにして動くそれは、ぬるりと艶めかしく。歯列をなぞられて、ようやく彼の要求に気がついた。



 恐る恐る、薄っすらと口を開く。

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