第3章 ひとはその奇跡を運命と呼ぶ(松川一静)
「……ん、上手」
なんとも甘やかに彼が言って、ご褒美とばかりに挿しこまれる舌。
──熱い、触れるだけのキスとは全然違う。深いところで繋がるキス。
絡めとられることで自然と踊ってしまう舌が、彼のそれと相まって自身の口内を犯した。
あがる息、心拍数。
キスしてるときって、いつ息をすればいいんだろう。どうすればいいのか分からない。
苦しい。
息が、胸が。
「っは、ぁ、苦し、……んんっ」
なのに、可笑しいほどきもちよくて。
「……ん、っ!」
無意識に腰が跳ねた。
新たな刺激が加えられたからだ。
いつのまにか寛げられていた胸元に、彼の指先。
少し乾燥した指腹に色付いたところをくるくると撫でられて、時折引っ掻くようにして中心を弄ばれる。
煽られたそこがぷくりと膨れたことを確認した彼は、深いキスを解いて妖艶に笑んだ。