第2章 二度目のハートはささやかな約束と永遠の(黒尾鉄朗)
思わず涙ぐむ私の頭を、わしゃわしゃ!と撫でて彼は笑った。
「泣くほど嬉しいか? ん?」
なんて、いつもの調子で、私をからかってみせて。
なのに、ふと。
ほんの、一瞬。
鉄朗の瞳がふわりと綻んだ。
ひどく優しげな眼差し。
愛しさが、溶けこんだような。
「──大人になったらもっとちゃんとしたの買ってやるからな」
高校三年生の冬。
ささやかな聖夜。
こらえきれずに流した涙は温かく、暖かく、つつと頬を伝いおりていく。
この幸せを当たり前のように未来へと繋いでくれた鉄朗。
眼前で笑んでいる彼を、私のすべてを尽くしてでも愛したい。愛していこう。これからもずっと。
彼から貰った贈りものの全てをしっかりと胸に刻んで、私は、強くそう誓うのであった。