第3章 2人の距離3
「それにね。私もうヒロトの事好きじゃない。本当はずっと前から気付いてたんだ。」
子宮あたりに手を当てながら言った
「私ね、赤ちゃんいたの。…ダメだったけど」
ヒロトの子だよ。と言うと今まで見た事ないくらい驚いていた。
それを聞いて輝さんは優しく肩をポンと叩いて大丈夫か?と聞いてきたので、はい。と笑って答えた。
今日、私はここで心の整理をつけたいと思ってる
だからありのまま話そう。
そう思った。
え?嘘だろ?と言うヒロトに本当だよと携帯で記念に残していた母子手帳とエコー写真を見せた。
それを見てはぁぁぁ。と大きなため息を尽き顔を覆うヒロト
「気付いた時にはもう産むしか選択肢はない状態だったの。だからヒロトの前から居なくなったの。もし、産まれた子に私と同じように接したり、私に対してしてる事を見られたらって怖くて」
言わなくてごめんなさい。と続けると首を横に振るだけで何も言わなかった
「でも、ダメになっちゃった。…その時少しホッとしてた。」
最低だよね。とまた言うと難しい顔をした。
「私、多分その時からだと思う。私ヒロトの事好きじゃないんだなって。気付いたのは最近だけど。」
私が苦笑いしながら言うとヒロトが小さく声を絞り出した
「…ごめん。許してもらえないってわかってるけど。本当に」
私が首を振って答える
「もうね。許すとか。許さないとかじゃないよ。ね、ヒロト私を見て?」
そういうと顔を上げて私を見つめるヒロト
眉毛が垂れ下がり悲しそうな顔をしていた。
「私ね。今、大事な人がいるの。彼も全て分かっててくれてそれでも一緒にいてくれる。お互いが尊重できる存在。…ヒロトとそうなれるってずっと思ってた」
だんだん涙が溢れる
「でも私ヒロトの事ちゃんと分かろうとしてなかった。本当にごめんなさい。」
涙をボロボロ流しながら言う
「そうだな。俺も自分勝手だったよ。由梨がいるのに許してくれるだろうって他の人の所にいたし。わかってたんだろ?」
もう声は出なくてうんうん。と泣きながら頷いた
どうしてもっと早く私達はこうやって全部見せあわなかったんだろうって
もっと相手を思いやる事が出来たらって今更思った。
でもこれに気づけたのは和さんと一緒にいたから。
和さんの私に対しての思いやる気持ちに気づけたから今こうやってヒロトの気持ちに気づけた
