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2人の距離

第3章 2人の距離3



そういえば和さんに帰りお土産でつまみでも買って帰ろうと思ってお金までは支払っていた事を思い出した。
後から店を出た楓さんはそれを届けてくれたらしい

「それと、もう一つ。楓ちゃんが由梨帰って来てないの心配だったみたいだから。」
未だに少し笑っている和さんにすみません。と謝る。

「いーえ。…由梨?迎え行こうか?」
私の雰囲気を悟ったのか心配そうに言う和さん
その顔が目に浮かび少し笑った。

「大丈夫です。自分で帰れます。…あと、おつまみもお土産なんで遠慮なく」
そう言うと和さんも安心したのか、わかった。気をつけてね。と電話を切った。

そして目の前にいる輝さんに話しかける。
「すみません。おまたせしました。」
いや、と言う輝さんに向かって、少しずつではあるがゆっくり今までのヒロトとの出来事を話していった。


きっとありのまま話せたのは和さんからの電話のおかげだっただろう。
和さんの声に力がスッと抜けていくのを感じた。

大丈夫。
私には支えてくれる人が近くにいる。






「ふぅ。」
一通り話し終え一息つく頃にはコーヒーが緩くなっていた。
私の話を難しい顔をして黙って聞いていた輝さんは急に頭を下げ謝ってきた。

「ほんっとに、ごめん!!…俺があの時もっと。」
最後の方は悔しそうに声を押し殺して言う輝さんは少し震えていた。
私は慌てて輝さんの頭を上げさせようとした


「輝さんは悪くないです!一番初めに助けてくれたのは輝さんだし、…それに私だってあの時はヒロトから離れる気も助けてもらうのも拒否したから!」
だから私の責任です。お願いですから頭上げて下さい!と言うとゆっくり頭を上げた。
その目は怒りに溢れていてでも少し泣きそうな顔をしていた。


「それでも俺が強引に連れて出てれば。由梨ちゃんもそんな事にはならなかったかもしれないのに」
後悔してる。と悲しそうな顔で言われたので首を横に振った。

「そんな。輝さんの負担になるのは嫌です。それにあの時の私はそれも受け入れられなかったと思います」
私の言葉にだよな。と苦笑いした輝さん

「でもやっぱり謝っておきたい。あの時さ、俺由梨ちゃんの事好きだったんだよ。…それがヒロトにバレてさ。だからきっと俺の所為もあるんだよ」
輝さんの告白に驚いた顔をして見せるとハハッと笑われた

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