第3章 2人の距離3
非常に気まずい
今此処はカフェで、私の目の前には男性がコーヒーを飲んでいる。
あの後私は彼にそのまま連れられ今いるこのカフェに引きずり込まれる様に連れ込まれた。
彼の名前は木田 輝(きだ あきら)
スーツを卒なく着こなし仕事はシステムエンジニア
そう。
彼はヒロトの友達。
もっと言うと親友。
「由梨ちゃん元気そうで良かった」
そう言ってニコッと笑う輝さん。
正直どんな顔して会話して良いかわからない
実際、輝さんはどこまで知ってるのかもわからないし。
でも輝さんはとても良い人だ。
輝さんは私がヒロトに傷つけられていたのを一番はじめに見つけ、助けてくれようとしていた人。
それでもヒロトと別れてしまった今、あんな逃げ方をしてなんて言われるかわからない。
どうしよう。と下を向いていると泣いてると思ったのか焦る声が聞こえた
「え、ちょ、ちょっと由梨ちゃんっ?!…もしかしてまだあいつあんなことしてんの?」
その言葉に驚き思わず顔を上げた。
あれ?泣いてない…とホッとする輝さん
「あ、あの。…なにも聞いてないんですか?」
私の言っている意味が全くわからないらしく、はい?と聞き返される。
「私達、別れたんです。」
そう言うと急にガタッと立ち上がり、そしてまた座った。
「…ごめん。俺全然知らなくて。というかあいつとはもうずっと連絡とってなくてさ」
頭を掻きながらバツの悪そうな顔をする輝さん。
多分輝さんがヒロトと連絡をとってないのは私の所為
私の事についてヒロトに食ってかかりその後私は酷い目にあった事がある。
そうですか。と言い、話し始めようとした時に和さんから連絡があった。
すみません。と電話を切ろうとしたら、良いから出なよ。と言われたので電話に出た
「あ、由梨今帰り?」
多分に和さんは家でゲームでもしているのだろう。
後ろから機械音がする。
和さんの声と後ろから聞こえる音が普段通りすぎて力が入りすぎていたものが少し抜けた
「いや、今ちょっと。立て込んでて」
私がそう言うと、そう。と言いつつ大丈夫?と心配されたのではい。と答えた
「さっきさ、楓ちゃんが来て忘れ物届けに来たけど。これ、食べてるけど良いの?俺の?」
それを聞いて思わずあっ!!と声をあげると和さんは電話越しでフフッと笑っていた。