第3章 2人の距離3
「やっぱり気づいてなかったか」
頬をカリカリしながらそう言う輝さんは苦笑いしていた。
すみません。私全然そんな事。というと、いや良いんだよ。と笑っていた
「ま、でもそっか。…今は幸せなんだよな?」
幸せだと言ってくれとばかりに見つめるのでクスッと思わず笑い、はい。と答えた。
私の答えに酷く安心した顔をした
「良かった。…まあ、そうだな。さっきの電話の感じ聞けば大体わかったよ」
そう言って少しニヤつきながら、さっきの男だろ。と言われたので少し間を空け、はい。と認めた。
「全部知った上で一緒に居てくれるんです。…別に付き合ってるとかじゃないんですけどね」
私がそう言うと輝さんはまたちょっと驚いていた。
「いや、ちょっと待てよ。今さらっと言ったけど付き合ってる彼じゃない訳?」
心配顔の輝さんに今度は私が苦笑いで返す
「う〜ん。…ちょっとわからないですけど。大事な人ですね」
和さんは[付き合おう]とか。
[彼女] [彼氏] とかの括りを決めようとしない。
多分あえて避けているのかもしれない。
それでも大事に思ってくれているのは正直、恥ずかしいくらい伝わっている。
自分の立ち位置より、大事に思ってくれている人を大事にしたい。
和さんに再会してからずっと思い続けている。
私の答えに戸惑う輝さんに、今は穏やかな気持ちだし幸せですよ。と再度言うと仕方なくといった感じで納得した。
その後、輝さんはお願いだから心配だからたまに連絡させてほしいと言い連絡先を交換して家に帰った。
時刻はそろそろ次の日を指すところにやっと家に帰り流石に寝ているだろうなとそーっとリビングの扉を開けるとテレビゲームをしている和さんがいた。
「あ、お帰り」
そう言ってゲームの中断ボタンを押しテレビを消した。
「ただいまです。遠慮なくしてて良いですよ?」
いつもの光景に酷く安心した私はその姿をまだ見ていたいと思いそう言った。
でも和さんはもうゲームには興味ないのかテーブルの上に置きっぱなしのビール缶やお土産で買った食べかけのおつまみを片付けていた。
私も手伝おうとしたら、良いから風呂沸いてるから入ったら?と言われたので素直に言葉に甘える事にした。