第3章 2人の距離3
何処まで知っているのかはわからないけどお母さんが抱きしめてくれた事も、言葉を選ぶように知っている事を伝えてくれたお姉さんの気持ちもとても嬉しかった。
その後、お父さんも帰ってきてしっかりと挨拶すると笑顔で歓迎してくれた。
やっぱりお父さんも和さんと何処か似ていて酷く安心した。
和さんの家族はとても穏やかで私にもとても親切にしてくれた。
お姉さんとお母さんとは特に仲良くなり、今度一緒に食事に行く約束までした。
昼ごはんが終わるとお父さんは早々に仕事に戻り、和さんはお姉さんとお母さんと私が談笑しているところにすっと入ってきた
「何よ?和。女子会なんだけど」
邪魔よと言うお姉さんに苦笑いしている和さん
「いや、そろそろ帰ろうかと。もうちょいいたい?」
そう聞く和さんに、そうですね。と立ち上がった。
帰るのー?とちょっと寂しそうに言うお姉さんに連絡必ずします。と約束した。
「あのね。由梨ちゃん。言い忘れてたけど。」
ちょっと言いづらそうにお母さんが切り出す。
皆んなが少し静まる
「そんな大した事じゃないけど、…お母さんだと思ってくれたら嬉しいわ」
そう言ってニコッと笑うお母さん。
その言葉がじんわりと私の心をあっためた。
少しだけ滲んだ涙を指で拭い、ありがとうございます。と深々頭を下げた。
それを和さんは優しい顔をして見守っていた。
家に帰りソファで一息ついた。
やっぱり少し緊張していたみたい。
はい。と言ってコーヒーを渡された。
和さんも隣に座ってコーヒーを飲んでいた
「勝手に、ごめん」
そう言って頭を下げた和さん
「ほんとはさ、そんなつもりなかったんだけど、色々あって話したんだ。由梨のこと。」
八の字眉毛にして私を見る和さん
「そんな顔しないでください。…私怒ってないです。それにちょっと嬉しかったから」
笑って言うと少し不思議そうな顔をしていた。
「お母さんもお父さんもお姉さんも。優しくしていただいて。…家族の水入らずにすみませんでした。」
今度は私が頭を下げると、バカだな。と笑っていた
その後は家から出ずに想い想いのことをしていた。
和さんはゲームしたりビール飲みながらたまに台本読んだり
私は夜中からの仕事の準備したり家事したり。
そこには会話はあまりなかったけどとても穏やかだった。