第3章 2人の距離3
「じゃあさ、明日ちょっと付き合ってくんない?」
何処にですか?と聞きながら和さんの腕の中にすっぽり収まる。
最近は和さんに抱きしめられても安心して身を委ねられるようになっていた。
「実家なんだけどさー。昼飯食いに来いって言うから」
軽く言うので驚いて和さんから少し離れた
「え、いやいや。…それ私行っちゃダメなんじゃないでしょうか?」
焦る私にフフッと笑い身体を引き寄せてまた抱きしめられる。
「大丈夫。…というかもうさっき連絡しちゃったし。」
決定事項だから。と頭をぽんぽんされた。
ちょっと強引だけどもう仕方ない。
連絡されてしまった以上ついていかない訳にはいかなかった。
和さんの実家には丁度お姉さんも帰ってきていたらしく手厚く歓迎された。
「あなたが由梨ちゃんね〜。和から話は聞いてるわっ。ゆっくりしてってね」
ニコッと笑うお母さんは和さんと何となく似ていてやっぱり親子なんだなと思った。
お姉さんにも挨拶され、何時ものように深く一礼し挨拶すると、言ってた通りねと笑われた
不思議な顔をして和さんを見るとフフッと笑いながら
「礼儀正しい子だからって言っただけだから。変なことは言ってないよ」と言われちょっとホッとした。
和さんに見せてしまった普段のおっちょこちょいなども知れ渡ってしまっていたらかなわないから。
食事を運ぶのを手伝っているとキッチンでお姉さんからある事を聞かれた。
「和からね。聞いたんだけど。由梨ちゃんご両親いないんだってね」
私の両親は早くに亡くなって親戚の家に預けられていたが、あまり良い環境ではなかった。
それもあってかヒロトと出会ってからはほとんどの時間をヒロトと過ごしてきた
「あと、この事も。」
そっとお腹に手を添える様な仕草をする。
それを見ていたのかお母さんが後ろから私の肩に手を置いて、ごめんね。ちょっと良い?と言って抱きしめられた。
「あ、あの!」
突然の事でとても驚いているとそっとお姉さんに頭を撫でられた。
「お母さん。…由梨ちゃん困ってるから」
ちょっと笑いながらそう言うお姉さん。気持ちは分からなくもないけど。とちょっとふざけて言っていた。