第1章 2人の距離
少し悩んだ。
「楓さん、いないんですよね?」
私がそう言うと「由梨ももう一人前になるんだしいつまでもおんぶに抱っこはできないわよ?これはチャンスだと思いなさい。あなたを分かってもらえたら次に繋げるキッカケになるかもしれないのよ。私の事は気にしないで行ってきなさい」
ニコッと笑いながら私の頬を撫る楓さん。
「…。わかりました。」
私の返事を聞くと今度はよしよしと頭を撫でて明日の居酒屋の場所を教えてくれた。
帰り道。
私は楓さんの送りを断り電車で帰宅していた。
明日の事を考えると憂鬱だ。
もちろん楓さんの言い分はもっともだしできたら私も楽しんで行きたい。
ただ私はこの後の帰宅後と明日の飲んだ後の帰宅後の事で頭の中はぐるぐるしている。
私には誰にも言えない秘密がある。
たとえ楓さんにも。