第3章 2人の距離3
「は?…え?どういうこと?!」
摑みかかる勢いでニノさんに迫る楓さん
それはまるで犬の威嚇のように、ガルルッと聞こえる様だった。
それでもニノさんは笑い出して、楓ちゃん落ち着いて。と楓さんの肩をぽんぽんとしていた。
「とりあえずさ、夜楓ちゃん俺らのメイクでしょ?そん時話すからさ。…あ、マジで時間やばいわ。」
そう言って私に振り返り行ってきまーすと手をひらひらさせて出て行ったのでいつもどおり行ってらっしゃいと返した。
ニノさんが出て行った後今度は私を見て動揺を隠せない様子の楓さん。
とりあえず中に上がってもらい、コーヒーを差し出すとそれをゴクッと一口飲み言葉を選ぶ様に話しだした
「えっと。…つまり、ニノちゃんと付き合ってるってこと?」
少し目を泳がす楓さんに私も同じように目を泳がす。
「なんて、言えば良いんでしょうか。ちょっと違うと言いますか…」
煮え切らない私をみて小さくあいつ。と舌打ちする楓さん。
それに少し慌てる私
「あ、あのでも!嫌じゃないと言いますか、お互い好き勝手過ごしてるんで!」
「え、ちょっと待って。一緒に住んでるの?」
楓さんが驚いて言う
しまった
自分で墓穴を掘ってしまった
確かにあれだけじゃたまたまニノさんがうちに来ていたのを出くわしたってだけに見えていてもおかしくないのに
ごめん。ニノさん。と心の中で謝る
はぁぁぁ。と溜息をつく楓さん
「由梨。…本当に大丈夫なのよね?」
心配そうに見る楓さんにはい。と答える
「ニノちゃんのこと、仕事上では知っているけどやっぱり心配よ。」
ちょっとうるうるしながら言う楓さんにすみません。と謝る
「いや、いいのよ。私は由梨が元気ならなんでも。…でも一つ言うとしたら。気をつけなさいよ。外でキスなんか絶対ダメよ」
そう言う楓さんに全力で否定した
「いやいや!絶対ないです!そもそもそんなじゃないんで。」
私が言うとは?とまたびっくりして
「え。あんた達キスもしてないの?子供の恋愛じゃあるまいし。」
心底信じられないという顔をする楓さん
「だいたい一緒に住んでるんでしょ?あの年でもう機能しない訳?!」
何故かキレ気味の楓さんを宥めるも治らない
すみません
一緒に住んでるんじゃないんです
ただ毎日家にいます。とは言えない
言ったらニノさんが刺されかねない
