第2章 2人の距離2
「いやいや。誤解ですよ。…今のニノさんだし。飲み友です」
そう言って空になった空さんのグラスを店員さんに渡して、次のドリンクを頼んだ
「え、ニノさんって。あの嵐の?」
そうです。嵐さんです。と言いながらぽりぽりキュウリをかじる私。
「へぇ。…なんかちょっと面白いな」
クスっと笑いながら言う空さんになにがですか?と聞くと。
「由梨が弄られているのしか想像つかない」
想像したのかハハッと笑う空さん
確かにニノさんのイメージって弄る側で私は実際弄られキャラよりな気もする
だけど実際のニノさんは私にとても優しい。
そして私の扱いが上手い。
そんなことないですよ。と言うとどうだか。と取り合ってくれなかった。
食事を済ませほろ酔い気分で家に帰ると何故かニノさんが家の中で寛いでいた。
テレビゲームをしながらおかえりー。とこっちを見ずに言うニノさん。
咄嗟にただいま。と言ってしまう。
「…え、いやいやいや。なんで?」
慌てる私をチラ見してフフッと笑うニノさん。
「なんでも何も。鍵貰ったんでゲームしてんのよ」
さも当たり前のように言うニノさんにもう抗議する気も失せてしまった。
そもそも鍵。
あげた訳じゃないんだけどね。
私が明日の支度をしたりシャワーを浴びたりしても全く気にする様子はなくゲームしたり、ベランダにでてタバコを吸ったり。お酒が飲みたいと言うので酎ハイを渡すと飲みながらまたゲームしたりと。それはもう自分の家かのように寛いでいた
それでも文句が言えないのは不思議なことにニノさんがいるのがこの家にとっても馴染んでいるから。
昨日初めて来た家とは思えないくらいにニノさんはこの空間にしっくりきていた。
「私、そろそろ寝ますけど。」
私がそう言うとん〜。と言ってゲームをしまいだした。
あ、今日は帰るんだな。
ちょっと寂しくなった。
後片付けをして私の方に振り向き私を見るとニノさんは急に笑い出した
「フフッ。…帰って欲しくない?」
ちょっとニヤつきながらそう言うニノさんは意地悪な顔をしていた
「…え。私そんな顔してます?」
私のちょっとした感情まで読み取ってしまったニノさんに戸惑いを隠せなかった