第2章 2人の距離2
「そういうのいいからさっ!…まあ、そうだな。由梨が元気で居てくれた方が俺も安心して仕事出来るから」
そう言って拳を突き出して来たので私も拳を作りコツンと軽く合わせた
そのあとは滞りなく生放送は大成功に終わった。
空さんはその後ラジオの仕事があるらしく私はここまで。
「じゃー明日な」時間がないのか慌てて先に楽屋を出て行く空さんの背中を一礼して見送り後片付けをはじめた。
楽屋からだけどしっかり嵐さんの曲もチェックした。
そういえばニノさんと話さなかったな。
変な期待を持っていた私を振り切るようにちゃちゃっと片付けて重い荷物を持って外に出た。
「「あ…」」
空さんの楽屋の前にはニノさんがいた。
ニノさんはクスッと笑って私を見る
「もう何回目よ、これ」
思わずハモってしまったことについてだろう。
ですね。と笑って返すと帰ろうとしていたのかじゃーねー。と手をひらひらさせて私の前からすり抜けて行った。
「あ、あの!」
思わず呼び止めてしまった。
ん?と言って振り向くニノさん。
呼び止めたものの特にこれといって思いつくことがなくてキョロキョロしているとフフッと笑い、ポケットからキーケースを取り出した
「乗ってく?…で、飯付き合ってよ」
どうする?と聞かれ私は素直に頷いた。
久々のニノさんの車。
ニノさんの車の中は相変わらず同じ香りがして過去にニノさんとあったことを思い出し少し顏が赤くなっている気がした。
「また。…そっちなのね」
運転しはじめてミラー越しに後部座席にいる私を見ながらそう言うニノさんはフフフっと笑っていた。
え?なにがです?と聞くと「いんや。何でもない」と言っていたが。
ニノさんが連れて行ってくれたのは個室のあるお店で家庭的な店主のいる暖かいお店だった。
ニノさんに前に何度か連れてきてもらったことがあった為店主もサービスしてくれたりとても良いお店
食事をしながら空さんの専属になった話を聞かれたので話す
「そいや、専属なんだっけ?雪乃さんの。」
お箸の端を口に軽く当てたまま話すニノさん。
「そうなんですよ。楓さん紹介で。」
その前から言われてたんですけどね。と言いながら私もお皿の中をつんつんしているとふーん。と軽い返事がきた。