第2章 2人の距離2
「そんじゃ完全復活か。楓ちゃんそんなこと一言も言ってなかったな。」
お茶をクイッと飲みながら言うニノさん。
「嵐さんには私から言いますって言ってたんですよ。」
ニコッと笑いながらいうとあー。そうなの。と納得していた。
そのあとは嵐さんの面白い話とか雪乃さんの変態発言とかお互いに色々話に花を咲かせた。
食事も終わり、そのまま別れて帰ろうとした私を今度はニノさんが引き止めた。
「いやいや。そこは普通に送られなさいよ。」
ちょっと笑いながらいうニノさんに思わずつられてフフッと笑ってしまう。
「わかりました。素直に送られます」
よろしくお願いします。とお辞儀をすると喜んでと軽く一礼された。
住所を伝えるとニノさんは少し驚いていた。
「俺んち近いじゃん。なんだよ」
聞くと本当に近くて笑ってしまった。
俺んちここ。と言って通り過ぎて私の家を目指すニノさん。
「え。今のとこでも大丈夫ですよ?」
余計な手間を掛けさせたくなくて慌てて言うとまあまあ。とだけ言われて取り合ってくれなかった。
マンションに着くとニノさんに駐車場があるか聞かれた。
「ありますよ。一応駐車場付きの物件なんで。車持ちじゃないから意味ないですけど」
そう言うと案内して。と言うので従うとスルスルと車を止めて降りたニノさん
え?
思わず声を出して言うと私が乗っていた後部座席のドアを開けて
「なに?降りないの?」
不思議そうにするニノさんの声に慌てて重い荷物を持ち上げた。
「んっしょ。いーよ。由梨お疲れでしょ?持ってあげますよ」
ニヤニヤしながら言われたので軽く抵抗するもあっさり持ち運び私にキーケースを渡してマンションに先に向かってしまった。
慌てて降りて車に鍵を掛けて追いかけるとオートロックの前で待っていた。
急いで開けると部屋番号を聞かれ素直に答えると私のキャリーケースを引いてエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターで横目で軽くニノさんを見るとちょっと嬉しそう。というかご機嫌な顔をしていた。
部屋の前まで来て扉を開けると玄関先まで荷物を運んでくれたのでありがとうございますと一礼した。
「いえいえ。…にしても重いな。いつもメイクさん見て重そうだなとは思ってたけど」
こんなん持ってたら腕パンパンだなとフフッと笑うニノさん。