第1章 2人の距離
はやく。
はやく戻ってきて皆んな。
後の4人が戻ってくるまでの時間がとても長く感じる。
気まずい空気が流れる中ニノさんはゲーム。
私はメイク道具の整理をして気を紛らわせていると静かな空気を一変させたのはニノさんだった。
「…由梨さー。ほんと痩せたな。」
あの時から。と続けてニノさんは言った。
多分あの時と言うのはドライブして、帰り際におでこにキスされた時の事。
「え?そ。そうかな…」
お腹の肉を摘んで見てみるが何にも変わってない気がする。
「んー。痩せたっていうか、やつれた?」
私を真っ直ぐ見ながら言うニノさん。
多分この目は心配している目
それがわかってしまうくらいに私はニノさんとの時間が好きだったと思い知らされる。
足が竦んでしまう。
そんな目で見ないで。
震えた手がリップに当たってしまいコロコロと床に転がる。
するとニノさんは立ち上がりリップを拾い私に近づいてきた。
「また、震えてる。」
リップを私に手渡しそのまま手を包み込まれた。
咄嗟に手を引っ込めてしまう。
少し悲しそうな顔をするニノさん
そんなことしないで
またあなたに甘えてしまう
ニノさんに今すぐ抱きしめてもらいたい
そんなことが頭にふっとよぎったがかき消した
その後ヒロトが思い浮かぶ
泣いちゃだめだ
と思いながら必死に堪える
「俺さ、「あれー。やっぱニノ先帰ってたんだ」」
ニノさんが何か言いかけた時に4人が帰ってきた
あまりにも2人の距離が近かったからヘアメイク直しをしている風を装うとニノさんもそれに乗ってくれた
嵐さんの撮影はやっぱり順調で相変わらず和気あいあいだった
撮影が終わると次の仕事に早々にみんな出て行くと最後に出て行こうとした大野さんにポンポンと頭を撫でられた
「なんかわかんないけどさ。ニノ由梨ちゃんと飲みに行く日とかいつもより楽しそうだったから。…懲りずに仲良くしてあげて?」
じゃーねー。お疲れ!と手をひらひらさせながら出て行った大野さん
大野さんはなんとなくニノさんと私の気まずい雰囲気を感じ取っていたのかもしれない
誰もいない控え室で涙を流しながら片付けをした
来なければ良かった
こんな気持ちになるなら
私はどうしようもなくニノさんが好きになってしまっていた