第1章 2人の距離
仕事は仕事。
そう言い聞かせながらも私の中は色んなことが渦巻いていた。
「おはようございます。」
楓さんの代わりの現場の日はあっという間にきていつもの仕事モードにはいる。
嵐さん達はアシスタント以来の一緒の仕事だ。
「由梨ちゃんはよー。よろしくなー」
皆さん口々に挨拶を交わす。
私も笑顔でそれに答えメイクしていく。
「めちゃくちゃ久々だよね〜。由梨ちゃん痩せた?」
相葉さんがニコニコとして聞いてくるのでお陰様で休日返上です。と答えると
「由梨ちゃん最近マジで人気だからなー」
と櫻井さんにニヤニヤされた。
「とんでもないですよ〜。ほんと楓さんのお陰で働かせてもらってる様なものですから」
またまたぁ〜と腰を小突かれるので日々のヒロトに付けられた痣がズキッとしたけど笑顔でやめてくださいよ〜。と返した。
相葉さんの次に櫻井さん。
そして松本さんのヘアメイク後ニノさんのヘアメイクを始めた。
ちょっと気まずいなと思いつつ平然と接するとニノさんは同じく平然に返してくれた。
難なくニノさんも終わり大野さんのヘアメイクをしていたら先に終わっていた4人は喫煙所に出掛けた。
「大野さんも一服先に行きますか?」
そう聞くとんー。いいや。と眠そうに返された。
「そういえばさー。最近由梨ちゃんの話ニノから聞かない」
突然そんなことを言われ思わず手が止まってしまった。
「…、え?な、なんのことでしょう?」
恐らく顔が強張っている私
「あれ?ニノと仲良いんじゃないの?よく聞いてたんだよね。飲みいくとか」
と不思議そうに言われた。
止まっていた手を動かし出来るだけ平静を装いニコッと笑いそれに返す
「あー。最近ですよね?ここのところ忙しくて」
そういうとふーん。と興味なさそうに返してきたのでほっと胸を撫で下ろした。
そしてヘアメイクが終わると大野さんも一服行ってくるわー。と控え室を出て行った。
一気に張り詰めていた気持ちが脱力してドサッと先程大野さんが座っていた椅子に座るとタイミング悪くニノさんが入ってきた。
「…あれ?大野さんは?」
キョロキョロと見回して大野さんを探すニノさん
「え?ついさっき喫煙所に向かいましたけど…」
すれ違いかー。とソファに座りゲームをしだした。