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2人の距離

第1章 2人の距離



優しく抱きしめるニノさんの気持ちがジワジワ伝わってきて。

あったかくて泣けてきた。


「…俺、めちゃくちゃ困らせてるよな」
何故か嬉しそうに言うニノさん。
その声に反応してニノさんを見上げるとふふっと笑われた。

「好きな子、虐めてる気分。…ていうかまさにそれ。今」
そう言って涙が溜まる私の目元を指で優しく拭った。


ニノさんに言われてしまった。


好き


正直。困っている

どう答えようか考えていると更に笑ってぎゅーと抱きしめられた

「まあ、さ。とりあえず今は抱きしめられときなさいよ。」
何も考えるなと言われてるような気がした。


私は何回ニノさんに救われれば気がすむのだろう。

悲しくなれば、優しさをくれ

泣いていれば、笑わせてくれ

今だって頭がパンクしそうになってたら。逃げ道を作ってくれる。

私はこのニノさんの緩い感じに惹かれたのだなと心底思った。
そして感謝を伝えたくてしょうがなくなった。

今度は私から抱きしめ返す。
「うわっ!…大胆」
と言うニノさんに「今日は無礼講です。」と伝えるとふふっと笑われた。

そして小さな声でありがとう。と伝えると。
こちらこそ。と答えた。


「ニノさん。もう。なしにしましょう」
離れて私が言うと。だな。と同意してくれたニノさん。

きっとこのままこの関係が続いてしまえば取り返しのつかないところまできてしまう。
多分ニノさんも同じ事を思っているのだと思う。


「今までありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」
私が手を差し出すと

「ああ。今までごちそうさまでした。これからもよろしく」
とニヤッと笑いながら握手に応じてくれた。
ニノさんの不思議な言い回しにクスっと笑った




こうして。

私とニノさんの奇妙な関係が終わった。

これからはたまに飲みに行ったりたまに仕事場ですれ違ったりする至って普通な健全な関係を築いていこう。

ニノさんが運転する後ろ姿を見ながらそう思った。







「ありがとうございました。また運転させちゃってすみません」
降りる準備をしなが言う私にニノさんはタバコに火をつけながら気にすんな。と笑った


「んじゃあ、またみんなで飯行こうな。」
タバコを持っていない方の手で頭をポンポンとされて降りるとちょっとこっち来いと運転席側に回った。

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