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2人の距離

第1章 2人の距離



ね?と言い私を引っ張って歩くニノさん。

確かに誰もいないけど。

私はヒロトに罪悪感を抱きながら素直にニノさんについて行った。



海が良く見えて座れるところを見つけ2人で並んで座った。
海をボーッと眺めているとニノさんのタバコの煙を思い出した。
それくらいリラックスしていた。

「なんか…。落ち着きますね。」
そう言うとニノさんは確かに。と答えた


「なんかさ。不思議なんだよね。由梨ってさ。最初っからなんか和んじゃうんだよな〜」
そう言って私を見るニノさんがニコッと笑った。

それは、なんとなくわかる気がする
「…私もです。と言っても私はあの居酒屋の時からでしたけど。」
私の言葉にあぁ。あれね。とふふっと笑った

「女の子抱きしめてこんな感じなるのはじめてよ?俺」
そう言って私の頭をポンポンとするニノさん。

「私もですよ?抱きしめられてドキドキより和んじゃう気持ちになるの初めてです。」
私が笑うとつられたように笑い返すニノさん


この感情は言い表すことはできないんだろうな。

ふと思った。
ニノさんと私って一体どんな関係なのだろうか。
友達?仕事仲間?

恋人?

ではないな。


「どうなんだろうね。そこらへん。」

「え?」
どうやら心の声が出てしまっていたらしい。


「…俺は。この何でもない関係が好きだったりすんだけど」
どうよ。と言われ少し考え込む。



確かに。
とても居心地が良い。


でもそれと同時にヒロトの姿がチラつくのも事実。


「私は、…ちょっと不安です。」
その言葉に耳を傾けるだけでニノさんはまっすぐ前を向いていた。
返事はなかったが、そのまま話しを続けた


「ニノさんといるととても癒されるし、楽しいですよ。…でも。私はそんなに悪くなれないから。」
ヒロトを裏切ってまでニノさんと一緒にいれない。
最近いつも思うこと。



「…わかってるよ。」
暫くお互い無言になった後そう言ってニノさんはニコッと笑った。
そしてゆっくりと抱きしめてきた。


私は多分ニノさんに気持ちが傾きつつある。
それでもヒロトが好きなことは変わりなくて。

どうして私はこんなにヒロトが好きなのだろう。

嫌いだったら。

嫌いになれたらいいのに。
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