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2人の距離

第1章 2人の距離




ニノさんと私の関係で少し変わったことがある。
それは私が少しだらしないところを見せていること。

例えばメニューを見ながら返事をしたり。
お箸で突きながら迷い箸したり。
たまにタメ口になったり。

ニノさんとの時間が増えるにつれどんどん居心地が良くなってしまう。

その分、ヒロトとの時間が苦しくなっている気がする。
それでも私はこうやって今も同じお皿の中の物を食べてしまっている。




食事もそこそこで外に出ると今日は天気が良いのか空にはキラキラと星が輝いていた。
風は暖かくて心地が良い


「…えー?今日もそっちなの?」
助席を律儀に開けてくれたニノさんをスルーして後部座席のドアを開けたらニノさんがマジか。と私を見た

「ニノさん。…業界人としてそれはいただけません!万が一撮られたら私、もうニノさんと顔あわせられません。」
申し訳無さすぎて…と言うとニノさんはふふっと笑い諦めて助席のドアを閉め、運転席に座った。

そして車が動き出して暫くすると
「やっぱ由梨面白いな。…あんなこと言われたの初めてだわ」
さっきの私を思い出したのかクスクスと笑いながらミラーで私を見る
そんなニノさんを見て何故か恥ずかしくなって少し視線を外した。

「…でもさ。別にいいじゃん?撮られても。」
ニノさんの衝撃的な言葉にびっくりして私はえっ…としか声が出なかった。

「別に良くない?悪いことしてないしさ。」
それだけ言って後は取り合わないとばかりにニノさんは違う話を振ってきた。




「ここ。…どこ?」
話に夢中になり全然どこに向かってるかわからなかった私は車から降りて開口一番にニノさんに聞いた。


「どこって。…どう見ても海でしょ」
そう言って真っ暗に広がる海を見て何故か満足気なニノさん。

いや。海はわかってるから。
目で訴えても答えは出してくれないニノさん。


「とりあえず。あっち行くか。」
そう言ってほれ。と私の手を握るニノさん。
ニノさんの手は暖かくてすっぽりと私の手を包み込んだ


「あ、あの!ニノさん!」
手は流石に。と言おうとしたら周りをよく見ろと言うニノさん。

辺りを見渡すと私達以外びっくりするほど誰もいなかった。
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