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2人の距離

第1章 2人の距離


そんな楓さんを私は (飴と鞭の匠) と密かに評している。

「楓さんが謝る事はなにもありませんよ。いつも楽しく仕事してる楓さんは憧れです。仕事の楽しさも難しさも楓さんに教えてもらえて感謝してます。いつか恩返しが出来る様になりたいです」
少し流れた涙を拭う楓さんの手を取りながらそう言うと抱きついてきた。

「あ〜ん!やっぱりもうちょっとアシスタントしてかない?由梨本当可愛い!恩返しならペットになってぇ!」
運転席から思いっきり引っ張られて抱きつかれたからかなり苦しい体勢。

「楓さんっ!苦しいですっ!」
背中をバシバシ叩きながら反抗する。
それでも離れない楓さんに時間を伝えるとパッと離れ車を降りることに成功した。

現場に向かいながらさっきの謎発言について抗議しようと思ったら思ったよりも車内にいたらしく慌てて現場入りした。


「おはようございま〜す!」
元気の良い挨拶をしながらメイク室に入って行くとまだ演者さんは来ていなくてホッとした。

「ギリ、セーフね。」
そう言って黙々とメイク道具を出している私に向かって
「最後のアシスタント。よろしくね」
ぽんぽんと頭を叩く楓さんに向かって笑顔を向けた。


この仕事を終えたら私は晴れてヘアメイクアーティストとして独り立ちする事が決まっている。
既にいくつか契約が済んでいてこれも全て楓さんのおかげだ。
今回の仕事は約二週間で行う大きな仕事。
この二週間で私は楓さんのアシスタントは卒業。
独り立ちは嬉しいけれどやっぱり何処か寂しい。
楓さんの泣きたい気持ちもわかってしまう。

「由梨。今日から二週間。ぶっ続けだから踏ん張ってね。そして私を癒して」

最後に訳のわからない事を言われたけどさらっと流してわかりました。とだけ答えた。


準備し終わった直後タイミングを計ったかの様にメイク室の扉が開いた。
そして挨拶をしながら入ってたのは今回担当させていただく。
嵐さん。5人。

「おはようございます。よろしくお願いします。」
礼儀正しく挨拶する楓さんの隣で同じ様に頭を下げながら挨拶する。

「よろしくお願いしまーす。…あ、楓さんかー!」
そう言って笑顔で握手を求めて来たのは松本潤さん。
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