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2人の距離

第1章 2人の距離



お手洗いと言いつつ席を外す
ヒロトに掛け直そうと携帯を開いた時に突然誰かに肩を掴まれトイレに引きずり込まれた。


「な、…んで。」
目の前にいるのはヒロトで顔は無表情だった
そういえば昨日のセックス中に今日の場所を聞かれたんだっけと思い返し背中に冷や汗が垂れた気がした。


「隣の男。大丈夫だった?」
私の質問には答えてくれなく、その声は恐ろしく優しかった。

何故私の隣に男性が座っている事を知っているのかとかそんな事声に出せなくて無言でコクンと頷くしかなかった。

するとヒロトは急に私の首元に顔を埋めて来た


「あ、…こんなこと、いたっ」
こんなところでと言おうとした時に思い切り噛まれた。
少し離れて私を見たヒロトは満足そうにしていた。

その時ヒロトの携帯が鳴り響きチッと舌打ちして電話にでた
仕事の電話らしい
ヒロトはシステムエンジニアで急に仕事が入る事もある


一通りして電話を切るとギュっと抱きしめて来た
なかなか離してくれない。

「ヒロト?…仕事でしょ?」
私がそう言うとはぁとため息をつき離れた

「由梨。今日は帰れなくなりそうだ。ちゃんとタクシーで帰れよ」
そう言って先に出て行った。




鏡を見ると先程噛まれたところが赤くなっている。
服を正せばギリギリ見えない位置。
しかし、ちょっとでもずらせば見える位置

「はぁ。」ため息と共に涙が溢れた。


そんな時カチャカチャと扉を開ける音がした。
そういえばヒロトが出て行ってから鍵を掛け忘れた。
まずいっ。と思い急いで鍵を掛けようとしたら既に遅く扉を開けて入って来たのは二宮さんだった。



「「あっ」」
二宮さんとハモってしまう声


この状況はかなりまずい。

二宮さんは私の顔をまじまじ見ていた。
そして首元をチラッと見てまた視線を合わす。



見られた?

慌てて首元の洋服を正しさっと二宮さんの脇腹を潜り抜け小さくすみません。と謝り出て行こうとした。


でもできなかった。
二宮さんが私の腕を掴んだから。


「…なんか、さ。出る気なくしちゃった」

「…はい?」
二宮さんの突然の言葉に思わず返事してしまった。

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